贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
静かに呟いた彼の言葉に、私の脳は一気に沸騰した。パチリと目を開けた私に彼が目を丸くする。

「オスカー、貴方浮気してたの? 子供って何?」

彼は一瞬気まずそうに目を逸らしたが徐に口を開き、ことの顛末を語り出した。
カロリーヌとは私が首都を三ヶ月くらい留守にし、ヘッドリー領地の温暖な気候を利用した二期作に取り組んでいた時に関係を持ったらしい。

───気持ち悪い! 気持ち悪い! 生理的にもう無理!

回帰して二年、オスカーの為、アルベルト王国の為に尽くすように軌道修正した私に待ち受けていたのは愛する夫の裏切りだった。

「カロリーヌの事は結婚に関する一連の行事が終わったら、伝えるつもりだったんだ」

私の髪を撫でようと手を伸ばしてくる、オスカーの手を振り払う。すると、彼は呆れたように溜息をついた。

「そういう重要な事は結婚式前に伝えるべきじゃない? こんな騙し討ちみたいな結婚は卑怯よ」

婚約期間八年。長い間連れ添っているから、オスカーは私の性格を熟知している。浮気が分かったら、結婚を止めると言い出すと思って隠していたのだろう。

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