贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
彼は私の問い掛けに首を振ると、彼が魔法の力を得た顛末を話してくれた。バロン帝国の魔法使いより、魔法の使い方を習った彼。しかし、魔力がない彼が魔法を使うには魔力の代わりに生命力を代用としなければならないらしい。
「『時戻し』は禁忌の魔法だった。なんとか貴方に回帰前の記憶を残せたようだな、がはっ」
ユリシスが突然血を吐く。真っ赤な血がポタポタと地面に落ちた。
回帰前、私を死に追いやった張本人なのに、私は彼を心配している。
なぜならば、私は一度も彼を恨んだことがなかった。
地下牢で私は気がつけば弟のレナルドに会いたいと毎晩のように繰り返し呟いていた。
その事を知った彼は、断罪前日に弟を私の元に連れて来た。
傷だらけで言葉を失っている弟はリンチされたような虐待の跡だらけだった。
『酷い⋯⋯』
子供のように大泣きしながらレナルドを抱きしめる私に、彼は膝をついて謝った。
『この幼い命には何の罪もないと分かっていたのに、すまない⋯⋯目を離すべきではなかった』
王家を滅ぼし翌日には私を処刑する英雄の謝罪は、人形のようになってしまった弟に向けられたもの。
「『時戻し』は禁忌の魔法だった。なんとか貴方に回帰前の記憶を残せたようだな、がはっ」
ユリシスが突然血を吐く。真っ赤な血がポタポタと地面に落ちた。
回帰前、私を死に追いやった張本人なのに、私は彼を心配している。
なぜならば、私は一度も彼を恨んだことがなかった。
地下牢で私は気がつけば弟のレナルドに会いたいと毎晩のように繰り返し呟いていた。
その事を知った彼は、断罪前日に弟を私の元に連れて来た。
傷だらけで言葉を失っている弟はリンチされたような虐待の跡だらけだった。
『酷い⋯⋯』
子供のように大泣きしながらレナルドを抱きしめる私に、彼は膝をついて謝った。
『この幼い命には何の罪もないと分かっていたのに、すまない⋯⋯目を離すべきではなかった』
王家を滅ぼし翌日には私を処刑する英雄の謝罪は、人形のようになってしまった弟に向けられたもの。