贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
朝起きると、僕は何も身につけていない状態でベッドに寝ていた。昨晩のアレは何だったのだろう。嫌な記憶を消し去りたかったが、僕は母エレーヌを問い詰めに行く事にした。

国王である父とは既に冷め切った関係になっていて、離宮に籠っているエレーヌ・アベラルド。彼女は僕を見ると悪びれもせず、事の顛末を語り出した。
母には僕がシェリルの言いなりになっているように見えたらしい。その状態は対外的にも好ましくなく貴族からの苦言もあり、未亡人で遠戚であるカロリーヌに夜伽の実技を依頼したとの事だった。

「なぜ、そのような事を? あの女は僕に何か薬を盛りましたよ。まともな女ではありません」
「⋯⋯薬?」

アベラルド王国で最も力を持つ公爵家の娘だった母。世の中には野心家で自分の目的のならば手段を選ばない女が存在することを知らない。僕は母の手が震えているのに気が付いた。母は僕の為に自分なりに動いただけ。これ以上、責める気はない。何だか不穏な幕引きに嫌な予感はあったが、僕はそれに目を向けずに日々を過ごした。

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