贅沢悪女と断罪された私がドレスを脱ぎ捨てた結果。
アベラルド王家はいつも跡継ぎ問題に揉めていた。祖父に当たる先代国王も子宝に恵まれず、貴族に言われるがままに側室を二十八人も持った。それでやっとできた子はたったの二人だ。皆、薄々王族の男側に原因があると思っていても指摘する事はできない。それ故に嫁いだ女側が責められるのは通例のようになっている。

「夜伽の練習はしない事にすでに決まっているはずだ」
シェリルが嫌がっているのに、敢えて練習する必要はない。万が一子供ができなくても、跡継ぎなど養子を連れてくれば何とでもなる。

カロリーヌは僕を撫でるように触れてきた。瞬間、蛇が体をつたうような気持ち悪さを感じる。

「やめろ、勝手に僕に触れるなど無礼極まりない。ここで切り捨てられたいのか」
「オスカー王太子殿下、こんなにも一人の女性を大切にされるなんて本当に素敵です。私、夫を亡くして寂しいです。避妊薬は飲んでいます。ここは私に身を任せてください」

彼女はサッとスカートの中から小瓶を出し中の液体を一気に飲み干すと、僕に深く口付けをしてきた。何かを喉の奥に流し込まれ意識が遠のいていった。

< 94 / 158 >

この作品をシェア

pagetop