義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
「……起こしちゃった?」

振り返って問いかけると、碧斗は短く「うん」とだけ返した。

次の瞬間、無言で私を後ろから抱き寄せる。

「セックスした後にいなくなったら、心配するよ。」

「……ごめんね。」

謝ると、碧斗は私の頬に軽く唇を触れさせた。

小さなチュッという音が夜の静けさに響き、胸の奥が甘く揺れる。

そして、珍しく柔らかい笑みを見せる。

「今日も可愛かったよ、咲菜。」

「ありがとう……」

嬉しいはずなのに、胸の奥に寂しさが広がる。

本当は“可愛い”なんて子どもみたいな言葉ではなく、“セクシーだった”“たまらない”と、欲望そのままの言葉をぶつけて欲しい。

もっと、貪るように愛されたいのに。

「ほら、一緒に戻ろう。」

「……うん。」

手を引かれて寝室に戻りながら、私はその背中を見つめていた。

理想の夫を手に入れたはずなのに、どうして心はこんなにも渇いたままなのだろう──。
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