義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
そして碧斗は、ベッドに入ると私に腕枕をしてくれた。

いつもの淡白な夫婦の営みのあと、それだけが唯一の甘やかしのようで、胸が締めつけられる。

「ねえ、碧斗……」

モジモジと指先でシーツをいじりながら、勇気を振り絞って言葉を紡いだ。

「もっと……激しく抱いてもいいのよ。」

沈黙が落ちたあと、碧斗はふっと目を細め、私の額にそっとキスを落とした。

「俺が本気になったら……咲菜を壊してしまうよ。」

そう言って彼はまた目を閉じ、規則正しい寝息を立て始めた。

私は胸にこみ上げる熱を抑えきれず、彼の体に腕を回してぎゅっと抱きしめる。

「……壊してもいいのよ。」

小さく呟いた声は、眠りについた夫に届くことはなかった。
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