義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
「碧斗……ああっ……!」

自分の指を必死に動かすうちに、堪えきれない波が一気に押し寄せてきた。

腰が浮き、足先まで震えが走る。

「いく……あああっ……!」

大きく仰け反った身体は、夫の名を叫びながら絶頂へと攫われていった。

目の前が真っ白になるほどの快感に溺れ、喉からは甘い声が漏れる。

「碧斗……碧斗……っ」

その名を繰り返しながら、私は全身をびくびくと震わせた。

やがて力が抜け、ソファにぐったりと崩れ落ちる。

熱は確かに満たされたはずなのに、胸の奥は冷たく、ぽっかりと空いたままだった。

「……碧斗……」

頬を伝う涙を拭うこともできず、私はただその名を呼び続ける。

欲しかったのは、自分の手じゃない。夫の熱、夫の愛──。

その虚しさに、涙は止めどなくあふれ続けた。
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