義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
この日は、親友の亜美と会う予定が入っていた。

駅前のカフェで待ち合わせをすると、ガラス越しに手を振る姿が見えた。

「咲菜!」

「亜美、こっち。」

私が手を挙げると、亜美はにこやかな笑顔で近づいてきて、軽やかに席に腰を下ろした。

彼女と会うのは、結婚してから初めてだった。

「どう? 結婚生活。」

亜美は興味津々といった様子で、身を乗り出す。

「……まあまあよ。」

曖昧に答えると、彼女は目を丸くした。

「ええっ? 新婚なのに?」

私は困ったように、けれど寂しさを隠せず笑みを浮かべた。

「思ってたのと、ちょっと違うの。」
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