義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
「そりゃあ、お互い他人同士が夫婦になるんだもの。そんなものじゃない?」

亜美が笑いながら言う。

私は窓の外に視線を逸らし、湯気の立つカップを両手で包んだ。

「なんかね……もっと新婚生活って、盛り上がるんだと思ってたの。」

毎日のように愛されて、抱きしめられて──ああ、この人と結婚したんだって、実感できると思っていた。

「旦那さん、冷たいの?」

「っていうか……淡白なの。」

 思わず声を潜める。

「夜も週一しかしないし。」

「ええっ⁉」

亜美の大きな声に、周りの客がちらりと振り向いた。

私は慌てて人差し指を口に当てる。

「しっ、声大きい。」

恥ずかしさに顔を赤くしながらも、心の中のモヤモヤは隠せなかった。
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