義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
朝の食卓に、カタリと新聞の音が響く。

夫・御園碧斗は、無表情のまま紙面に目を落としていた。

私は向かいの席から視線を送り続けるが、彼は気づく様子もない。

「今朝は、玉子焼き。甘めにしたからね。」

「……ああ。」

短い返事だけ。けれど、箸はきちんと動き、用意したものを残さず口に運んでくれる。

私の味を好んでいるのか、それともただの礼儀か──答えはわからない。

それでも、私は幸運だと思っていた。

自分の理想のタイプが、毎朝こうして目の前にいるのだから。

冷たい白い肌も、感情を見せない横顔も、すべてが私を惹きつけてやまない。

「行ってくるよ。」

「……行ってらっしゃい。」

立ち上がった碧斗は、振り返りもせず玄関へ向かう。

行ってきますのキスも、抱擁もない。

扉が閉じた後、静寂が残されたリビングで、私はひとり小さくため息をついた。
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