義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
夜も遅くに玄関の扉が開いた。

「夕食は?」と声をかけると、夫はネクタイを緩めながら淡々と答える。

「会合で食べて来た。」

「……そう。」

私は用意していた料理を見つめ、そっとため息をついた。

彩りよく盛った夫の分を片づけ、サランラップをかけて冷蔵庫へ入れる。

これは、明日の私の昼食になるのだ。

「風呂、沸いてる?」

「ああ……ごめんなさい。すぐに沸かすね。」

慌てて立ち上がる私をよそに、彼は冷蔵庫から缶ビールを取り出し、プシュッと音を立てて開けた。

グラスに注ぐこともなく、そのまま喉へ流し込む。

カレンダーのように規則正しい日々。

淡々と繰り返される夫婦の会話。

結婚とは、こういうものなのだろうか。

互いに義務を果たし、表面上だけ取り繕っていればいいものなのか。

リビングに広がる静かな空気の中で、私はふと、自分の結婚生活に疑問を抱いてしまう。
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