義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
そんな碧斗との夫婦生活は、今のところ週に一度と決まっていた。

しかも決まって土曜日──翌日が休みで、落ち着いてできるからだという。

いかにも碧斗らしい理由づけだった。

その夜も、私がベッドに入ると、彼は無言で電気を消して隣に入ってくる。

けれど、枕元の小さな灯りだけは必ず残した。

「……咲菜の、感じてる顔を見たいんだ。」

低い声でそう言い、そっと唇を重ねてくる。

淡白で冷静な夫が、わずかに覗かせる欲望。

愛の言葉ではないけれど、確かに私を求めていることだけは伝わってきた。

それが嬉しくて、胸の奥がじんわりと熱を帯びる。

──それでも、心のどこかで思ってしまう。

欲しいのは義務のような抱擁ではなく、狂おしいほどの愛。

冷たい仮面を脱ぎ捨て、私を壊すほどに抱きしめて欲しいのだ、と。
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