義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
碧斗が箸を動かすたび、社長室の中には小さな音だけが響いた。

私はデスクの前で、なんとなく落ち着かずに立っていた。

「どうした?」

突然、碧斗の低い声が響く。

「えっ?」

「なんか、そわそわしてる。」

心臓が跳ねた。

まさか、下着のことを……?

「そ、そんなことないわ。」

「そう?」

碧斗は再び弁当に視線を落とすが、すぐにまた顔を上げた。

「……咲菜。」

その目が、私の全身をゆっくりと見た。

胸のあたり、そして足元。

いつもより、視線が長く滞る。

「今日は……なんか、いつもと違うね。」

「えっ? そ、そうかしら?」

声が裏返る。指先がぎゅっとスカートの裾を握った。

(だ、だめ……バレる……)

薄いワンピースの下に、スケスケの黒いレース。

自分だけがその秘密を抱えている──その背徳感が、熱を帯びて全身に広がっていく。

碧斗の箸の動きが止まり、彼はゆっくりと立ち上がった。

「咲菜……こっちにおいで。」
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