義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
「えっ? でも、まだお弁当が……」

「食べ終わったよ。」

その一言に、胸がきゅんと鳴った。

「ほら、おいで。」

碧斗が手を伸ばす。その手に導かれるように、私は彼の膝の上に座った。

スカート越しに感じる碧斗の体温。

社長室という場所が、一瞬で遠く感じる。

「俺に抱きしめられたいんだろ?」

「えっ……」

低く囁かれただけで、心がとろけてしまいそうだった。

碧斗の腕が、私の背中を包み込む。

肩口に顔を埋めると、彼の香りが鼻先をくすぐった。

「お弁当、ありがとう。」

耳元でそう囁かれると、全身がびくんと反応する。

「碧斗……」

唇が震える。キスしたい――この人の唇を奪いたい。

けれど、言葉にできない。

そんな私の気持ちを察したように、碧斗が顔を近づけてきた。

「……咲菜、キス。」

唇が触れ合った瞬間、世界がふっと消えた。

デスクの上の書類も、時計の針の音も、何もかもが遠のいていく。

碧斗の唇は、いつもよりずっと熱くて、私の心を完全に支配していった。
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