義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
そんな夜のことだった。

ベッドで寝返りを打つと、喉が乾いていることに気づいた。

そっとベッドを抜け出し、裸足のままキッチンへ向かう。

静かな部屋に、自分の呼吸だけが響く。

「はぁ……」
冷たい床が心地よかった。

今日も激しい夜だった――体の奥まで満たされ、まだ熱が残っている。

火照りを冷ますように、コップに水を汲み、口に含む。

その時、背後から気配を感じた。

「咲菜?」

振り向くと、碧斗がゆっくりとキッチンに入ってきた。

寝ぼけたような表情のまま、私を見つめている。

「碧斗……」

「水、飲んでた? 俺にも、ちょうだい。」

コップに水を注ぎ、碧斗に渡す。

受け取った彼は一口飲むと、静かに私を見つめ返した。

その視線が優しくて、息が詰まる。

言葉はなかった。

けれど、その目がすべてを語っていた。
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