義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
「咲菜……」

背後から低く名前を呼ばれる。

次の瞬間、熱に後ろから襲われ、空気が震えた。

肌と肌がぶつかるたび、息が詰まる。

碧斗の吐息が首筋をくすぐり、私はたまらず声を漏らす。

「碧斗……ああん……」

呼吸の合間に零れる言葉。

彼の動きが深くなるたび、世界が溶けていく。

どちらの鼓動か分からないほど重なり合い、

全身が熱で塗り替えられていく。

「咲菜……もう……いくっ……」

「いいの、出して。碧斗……」

「ううっ……」

碧斗の声が震え、私の体がその熱を受け止める。

溶けるような甘い痛みに、心までとろけていった。

「ああ……碧斗……好きなの……」

名前を呼ぶと、彼は静かに私を抱きしめた。

その腕の中にいると、愛されているという確信が、体の奥からじんわりと広がっていった。
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