義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
季節がひとつ巡り、私のお腹は少しずつふくらんでいった。

朝になると碧斗は必ず私のもとへ寄り、「おはよう、咲菜。今日も元気そうだな。」と優しく微笑む。

以前のような冷たさはもうどこにもない。

代わりに、私の一挙一動に寄り添うような眼差しがある。

「ねえ、赤ちゃん、今動いたよ。」

碧斗は嬉しそうに手を当て、驚いたように笑った。

「本当だ……。小さいのに、ちゃんと生きてるんだな。」

その声が震えていて、私の胸も熱くなった。

夜、ベッドに入ると、碧斗は私を抱き寄せて囁く。

「咲菜、俺……あの頃みたいに抑えられないよ。おまえと、この子がいるだけで、幸せすぎて怖い。」

私は微笑んで彼の胸に顔を埋めた。

「大丈夫。もう、壊れたっていいのよ。あなたの愛なら。」

窓の外では春の風がそよぎ、新しい命と愛が、ゆっくりとひとつに溶けていく。

それは、確かに“家族”としての始まりだった。


ー End -

< 55 / 55 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

御曹司はただの同期のはずだったのに

総文字数/52,276

恋愛(オフィスラブ)150ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
営業成績トップを争う同期、桐谷玲奈と東條理人。 御曹司でありながら完璧に仕事をこなす理人に、玲奈は一度も勝てずにいた。 互いに意識しながらも、あくまで“ただの同期”として距離を保ってきた二人。 だがある夜、仕事帰りに偶然重なった時間が、その関係を変えてしまう。 「このまま帰す気ないんだけど」 冷静で感情を見せないはずの理人の一言に、玲奈の理性は揺らぎ始める。 触れた瞬間、崩れたのは距離だけではなかった――。 一夜の過ちで終わるはずだった。 なのに、あの夜から、彼の視線も、言葉も、すべてが変わっていく。 ただの同期のはずだったのに。 その関係は、もう戻れない。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop