義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
「ああ、咲菜……もう、我慢できない。」

荒い吐息を落としながら、碧斗が私を見つめる。

その瞳に揺らぐ熱だけで、胸がきゅんと締めつけられた。

「ああん……来て、碧斗……!」

懇願に応えるように、彼は唇を重ねてくる。

それがいつもの合図だった。

キスの直後、碧斗は必ず欲望を吐き出す。

「うっ……」

深く突き込んだまま、碧斗の身体がびくりと震える。

「……あっ、ああ……」

熱が一気に注ぎ込まれ、私は思わず背を反らせた。

「咲菜……よかったよ。」

短く囁くと、碧斗はそのまま私の上にぐったりと覆いかぶさる。

義務を果たし終えたかのように、すぐに力を抜いてしまうのだ。

それでも──私は彼を抱きしめずにはいられない。

冷たい夫が、唯一熱を零す瞬間。

その余韻にすがるように、腕に力を込めた。

胸の奥で、もっと欲しい、もっと愛して欲しいと願いながら……。
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