義務だけの結婚だったのに社長の溺愛が熱すぎて息ができない
「碧斗……」

呼びかけても、返ってくるのはスースーとした寝息だけ。

私の声に気づく気配もなく、彼はすでに深い眠りの中にいた。

本当は──もっと熱く愛して欲しい。

狂ったように求められて、ダメだと言っても腰の動きを止めてくれないほど、激しく抱かれたい。

背中がゾクゾクするこの男に、壊されるくらいに犯されたいのだ。

けれど碧斗は、私を「清楚な妻」だと思っている。

まさか私が、こんなにも肉欲に囚われているなんて知らないはずだ。

彼の目には、従順で大人しい花嫁としての私しか映っていない。

──だからこそ苦しい。

理想の夫を手に入れたはずなのに、心も身体もまだ満たされない。

彼の眠る横顔を見ながら、どうしようもない渇望に胸が軋んだ。
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