【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
 初めて話した人なのに居心地がよくて、ライザはもっと一緒にいたいと思った。

 だから、家まで送ると言ってくれたイグナートに、まだ飲み足りないから我が家に来ないかとお誘いをしてしまったのだ。

 躊躇う様子を見せる彼にライザは、自分が家を出て一人暮らしであることを説明し、家族に気兼ねなく過ごすことができる、と言った。

 普通に考えれば、婚約者でもない男性――しかも、身元は保証されているとはいえ会ったばかりの人を自宅に招くなんてありえない。

 酔っ払いの思考回路は恐ろしいものだと後々反省したけれど、ライザの話を聞いたイグナートはうなずいてくれた。

 恐らく彼は、ライザが誘惑したと思ったのだろう。だってライザの発言は、そうとしか受け取れないものばかりだったから。

 結局ライザはイグナートを家に招くことに成功し、あれよあれよという間に彼に抱かれていた。

 ライザが初めてであることに驚いてはいたようだが、優しく蕩かしてくれたイグナートの腕の中で、ライザは快楽に溺れた。

 初めてでこんなに感じるものなのかという驚きはあったけれど、酔いの影響と、何よりイグナートの愛撫が巧みだったからだろう。

 細かいことは覚えていないが、彼のぬくもりがとても心地よかったことだけは覚えている。

 それ以来、ライザは週に数度はイグナートに抱かれる日々を送っている。

 最初に誘ったのはライザだし、彼はそれに乗っただけ。

 今更、そんなつもりはなかったなんて言い出せるわけもなく、ずるずると続けられる二人の関係は『セフレ』と呼ばれるもの。

 イグナートに抱かれるのは気持ちいいし、彼と過ごす時間はとても楽しい。快楽のためだと割り切れたなら幸せだっただろう。

 だけどライザは、彼に恋をしてしまった。

 甘い言葉や表情を向けられて、そのたびにときめいてしまう。

 二人きりの時にだけ見せる仕草や態度が、本気で愛されていると信じたくなる。

 いつか終わる儚い関係だと知りながらも、ライザはイグナートと過ごす時間を手放せないままだ。
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