【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
 次の休みに、ライザは再びタマラと王都へ行くことを決めた。

 さすがにライザがイグナートを訪ねるのは難しいため、アナスタシアに協力を仰ぐことにしたのだ。医師であったタマラなら、癒し手に接触してもさほど不審には思われないだろう。

 双子たちはジョレスに頼み、世話に必要なものを鞄に詰める。着替えや食事、お菓子やお昼寝の時に使うブランケット、そしてお気に入りのおもちゃなど。

 大泣きされても困るので、前日からライザは子供たちに自分が不在にすることや、ちゃんと戻ってくるからいい子で待っているようにと何度も言い聞かせておいた。

 泣いて手がつけられなくなった時のために、とっておきの甘いお菓子も準備した。

 ジョレスに迷惑をかけないことを祈りつつ、ライザは子供たちに揃いのポシェットをかける。中には、二人がお気に入りのぬいぐるみとお菓子が入っているのだ。

「じゃあ、ママはお出かけしてくるからね。いい子で待っててね」

 何度目かも分からない念押しをしていると、呼び鈴が鳴った。タマラが迎えに来てくれたのだろう。

「おーちゃま!」

「おいしゃま!」

 双子が、大喜びで玄関に走っていく。この様子ならお留守番も大丈夫だろうかと考えつつ、ライザも二人のあとを追った。まだ把っ手に手が届かない子供たちの代わりに、ライザが扉を開ける。

「タマラさん、おはようございま――」

 笑顔でタマラを迎えたはずのライザの表情は、そのまま固まってしまった。

 扉の向こうにいた来客は、タマラでもジョレスでもなかった。

「おはよう、ライザ」

 そこに立っていたのは、イグナートだった。

 
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