【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
数年前、魔獣の討伐で大きな傷を負った際に、イグナートはライザの治療を受けた。華奢で可愛らしい外見とは裏腹に、ライザは血塗れのイグナートにも動揺することなく手当てをしてくれた。
鼓動に合わせてずきずきと痛む傷からは、絶えず血が流れ落ちている。それを見たライザは、まるで自分も痛みを感じているかのように苦しそうに眉を寄せ、そっと傷口に触れた。その瞬間、今までの痛みが嘘のようにすうっと引いた気がした。
癒し手の治療を受けた経験はこれまでも数えきれないほどあったし、聖女に治してもらったことだってある。だが、これほどまでに心地いい治癒の力を感じたのは初めてだった。
「私はヴェーラ様みたいに強い力を持っていないので、傷を塞いで出血を止めるのが精一杯です。申し訳ありません」
そう言いながら、ライザは懸命に治癒の力を傷口に注いでくれた。凛としたその横顔は美しく、それに見惚れているうちにイグナートの傷は塞がった。
真剣な眼差しで傷を見つめ、出血が止まっていることを確認したライザは、安心したように笑みを浮かべた。まるで花が綻ぶようなその笑みに、イグナートは思わず見惚れた。傷の痛みとはまた別に、鼓動が痛いほどの速さで打ち始めるのが分かった。
聖女であれば傷痕すら残らないよう治すことができるのだけどと申し訳なさそうにしながら、ライザは腰につけたポーチの中から回復薬の瓶を出すとイグナートに差し出した。
「気休めかもしれませんが、これを飲んでください。自己治癒力を高める効果がありますから、傷の治りが少し早くなるかもしれません」
「あ……ありがとう」
瓶を受け取る際に微かに触れた指先に、また鼓動が跳ねる。
ライザは笑みを浮かべるとぺこりと頭を下げ、別の癒し手の手伝いをするために駆け出していった。
以来、イグナートはライザの姿を見つけるたびに目で追うようになっていた。癒し手であるライザは、騎士団にも定期的に顔を見せる。彼女に近づこうとする騎士たちを威圧で排除しながらも、イグナート自身はなかなか距離を縮めることができずにいた。
そんな中、酒場でライザと出会えたのは本当に奇跡的なタイミングだった。
鼓動に合わせてずきずきと痛む傷からは、絶えず血が流れ落ちている。それを見たライザは、まるで自分も痛みを感じているかのように苦しそうに眉を寄せ、そっと傷口に触れた。その瞬間、今までの痛みが嘘のようにすうっと引いた気がした。
癒し手の治療を受けた経験はこれまでも数えきれないほどあったし、聖女に治してもらったことだってある。だが、これほどまでに心地いい治癒の力を感じたのは初めてだった。
「私はヴェーラ様みたいに強い力を持っていないので、傷を塞いで出血を止めるのが精一杯です。申し訳ありません」
そう言いながら、ライザは懸命に治癒の力を傷口に注いでくれた。凛としたその横顔は美しく、それに見惚れているうちにイグナートの傷は塞がった。
真剣な眼差しで傷を見つめ、出血が止まっていることを確認したライザは、安心したように笑みを浮かべた。まるで花が綻ぶようなその笑みに、イグナートは思わず見惚れた。傷の痛みとはまた別に、鼓動が痛いほどの速さで打ち始めるのが分かった。
聖女であれば傷痕すら残らないよう治すことができるのだけどと申し訳なさそうにしながら、ライザは腰につけたポーチの中から回復薬の瓶を出すとイグナートに差し出した。
「気休めかもしれませんが、これを飲んでください。自己治癒力を高める効果がありますから、傷の治りが少し早くなるかもしれません」
「あ……ありがとう」
瓶を受け取る際に微かに触れた指先に、また鼓動が跳ねる。
ライザは笑みを浮かべるとぺこりと頭を下げ、別の癒し手の手伝いをするために駆け出していった。
以来、イグナートはライザの姿を見つけるたびに目で追うようになっていた。癒し手であるライザは、騎士団にも定期的に顔を見せる。彼女に近づこうとする騎士たちを威圧で排除しながらも、イグナート自身はなかなか距離を縮めることができずにいた。
そんな中、酒場でライザと出会えたのは本当に奇跡的なタイミングだった。