【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
馬車が目的地に着く頃には、ライザは全身真っ赤になっていた。窓を開けてもらい、吹き込んでくる風が少しでも熱を冷ましてくれることを祈りつつ、ひたすらにうつむいていた。
「ごめん、ライザ。つい浮かれて調子に乗ってしまった」
「も、もう二度と馬車の中でこんなことはしないから……っ」
「うん。こういうことはやっぱり、二人きりの部屋ですべきだな」
イグナートの発言を聞いて、全然反省していないなと思いつつも、ライザだって本気で抵抗できなかったのだから同じだ。
キスをしていただけなのに、まるで抱かれた時のように身体が熱い。ちゃんと結婚するまでライザを抱かないとイグナートは宣言しているが、ライザの方が我慢できなくなりそうだ。
「この続きは、家で」
さらりと耳元で囁かれた言葉に、せっかく治まりかけていた熱がまた広がっていく。
続きというのはどこまでなのだろうと思いつつ、ライザは黙ってうなずいた。
馬車を降りてイグナートが案内してくれたのは、宝飾店だった。きらびやかな店内に一瞬気後れしたが、大丈夫だというようにぐいっと腰を抱かれる。
商談用の個室に案内され、イグナートの合図で店員がいくつもの指輪やルースを持ってきた。指輪の枠に合わせて、好みの宝石を選べるらしい。
「ライザが好きなものを選んだらいいというのは大前提なんだが、できれば俺の色を身に着けてくれると嬉しい」
「金の枠と青い石が多めなのは、そういうことね」
小さく笑って、ライザはうなずく。ライザとしても、イグナートの色を身につけられたらいいなと思うので、青色をした宝石を中心に候補を絞っていくことにした。
石の種類やカットの違いなど、どれも美しくて目移りしてしまう。
「うーん、すごく迷ってしまうわ……」
つぶやきながら宝石をあれこれ手に取っていたライザは、ふと端の方に置かれた石に目を留めた。それは、青から緑に変わるグラデーションが美しい石。主に回復薬の材料として使われるものだが、宝飾品に加工するのも人気の魔石だ。
「昔、イグナートがくれた魔石にそっくりね」
手に取って隣のイグナートを見上げると、彼も懐かしそうな顔をしてうなずいた。
「本当は、あの時にこの魔石を使った指輪を贈れたらいいなと思ってたんだ。勇気が出なくて、言えなかったけど」
「確かあの時もらったものは、調合に使ってしまったのよね……。せっかくプレゼントしてくれたものだったのに、ごめんなさい」
貴重な魔石を手に入れたことが嬉しくて、ウキウキで調合した記憶がある。きっとイグナートはそんなつもりではなかっただろうに、今更ながら申し訳なくてたまらなくなる。
「あの時も、ちゃんと言葉にしなかった俺が悪いんだから、気にしなくていい。癒し手のライザには、この魔石が宝飾品用に見えないことを理解しておくべきだった」
「私……指輪にするなら、これがいいな」
魔石を握りしめて、ライザはイグナートに宣言する。あの時の魔石と同じものではないけれど、二人の瞳の色が交じりあったようなこの色は、彼からもらう指輪に相応しいと思ったのだ。
「実は、それを選んでもらえたら一番嬉しいなと思っていたんだ」
感激した様子でイグナートがライザの手を包み込む。青い瞳がライザに向ける視線は、うっとりするほど甘い。そばに店員がいなければ、ライザはきっと彼にキスをねだってしまっていただろう。
石を選んだあとは指輪の枠のデザインを選び、職人がライザの指のサイズに合わせて整えてくれる。そうして出来上がった指輪は、青から緑に変化する石の鮮やかさを金細工の繊細さが引き立てる美しいものだった。
「わぁ……!」
想像以上の仕上がりに目を輝かせたライザを見て、イグナートも満足そうにうなずく。
「内側にも、小さな石を埋め込んでもらったんだ。ほら、アーラとパーヴェルみたいだろう」
そう言って、イグナートが指輪の内側を指差す。二つ並んだ青と緑の小さな石は、確かに双子たちを思わせる。
「ふふ、可愛い。家族が一つになった指輪ね。すごく素敵だわ」
「俺たちはずっと一緒だからな。指輪も、皆一緒だ」
心なしか強い口調で言ったイグナートは、おもむろに指輪を手に取るとライザを見つめた。気を利かせた店員が、指輪を入れる箱の準備をしてきますと言い残して部屋を出ていく。
二人きりになり、イグナートはあらたまった様子で一度咳払いをするとライザの左手を握った。
「ごめん、ライザ。つい浮かれて調子に乗ってしまった」
「も、もう二度と馬車の中でこんなことはしないから……っ」
「うん。こういうことはやっぱり、二人きりの部屋ですべきだな」
イグナートの発言を聞いて、全然反省していないなと思いつつも、ライザだって本気で抵抗できなかったのだから同じだ。
キスをしていただけなのに、まるで抱かれた時のように身体が熱い。ちゃんと結婚するまでライザを抱かないとイグナートは宣言しているが、ライザの方が我慢できなくなりそうだ。
「この続きは、家で」
さらりと耳元で囁かれた言葉に、せっかく治まりかけていた熱がまた広がっていく。
続きというのはどこまでなのだろうと思いつつ、ライザは黙ってうなずいた。
馬車を降りてイグナートが案内してくれたのは、宝飾店だった。きらびやかな店内に一瞬気後れしたが、大丈夫だというようにぐいっと腰を抱かれる。
商談用の個室に案内され、イグナートの合図で店員がいくつもの指輪やルースを持ってきた。指輪の枠に合わせて、好みの宝石を選べるらしい。
「ライザが好きなものを選んだらいいというのは大前提なんだが、できれば俺の色を身に着けてくれると嬉しい」
「金の枠と青い石が多めなのは、そういうことね」
小さく笑って、ライザはうなずく。ライザとしても、イグナートの色を身につけられたらいいなと思うので、青色をした宝石を中心に候補を絞っていくことにした。
石の種類やカットの違いなど、どれも美しくて目移りしてしまう。
「うーん、すごく迷ってしまうわ……」
つぶやきながら宝石をあれこれ手に取っていたライザは、ふと端の方に置かれた石に目を留めた。それは、青から緑に変わるグラデーションが美しい石。主に回復薬の材料として使われるものだが、宝飾品に加工するのも人気の魔石だ。
「昔、イグナートがくれた魔石にそっくりね」
手に取って隣のイグナートを見上げると、彼も懐かしそうな顔をしてうなずいた。
「本当は、あの時にこの魔石を使った指輪を贈れたらいいなと思ってたんだ。勇気が出なくて、言えなかったけど」
「確かあの時もらったものは、調合に使ってしまったのよね……。せっかくプレゼントしてくれたものだったのに、ごめんなさい」
貴重な魔石を手に入れたことが嬉しくて、ウキウキで調合した記憶がある。きっとイグナートはそんなつもりではなかっただろうに、今更ながら申し訳なくてたまらなくなる。
「あの時も、ちゃんと言葉にしなかった俺が悪いんだから、気にしなくていい。癒し手のライザには、この魔石が宝飾品用に見えないことを理解しておくべきだった」
「私……指輪にするなら、これがいいな」
魔石を握りしめて、ライザはイグナートに宣言する。あの時の魔石と同じものではないけれど、二人の瞳の色が交じりあったようなこの色は、彼からもらう指輪に相応しいと思ったのだ。
「実は、それを選んでもらえたら一番嬉しいなと思っていたんだ」
感激した様子でイグナートがライザの手を包み込む。青い瞳がライザに向ける視線は、うっとりするほど甘い。そばに店員がいなければ、ライザはきっと彼にキスをねだってしまっていただろう。
石を選んだあとは指輪の枠のデザインを選び、職人がライザの指のサイズに合わせて整えてくれる。そうして出来上がった指輪は、青から緑に変化する石の鮮やかさを金細工の繊細さが引き立てる美しいものだった。
「わぁ……!」
想像以上の仕上がりに目を輝かせたライザを見て、イグナートも満足そうにうなずく。
「内側にも、小さな石を埋め込んでもらったんだ。ほら、アーラとパーヴェルみたいだろう」
そう言って、イグナートが指輪の内側を指差す。二つ並んだ青と緑の小さな石は、確かに双子たちを思わせる。
「ふふ、可愛い。家族が一つになった指輪ね。すごく素敵だわ」
「俺たちはずっと一緒だからな。指輪も、皆一緒だ」
心なしか強い口調で言ったイグナートは、おもむろに指輪を手に取るとライザを見つめた。気を利かせた店員が、指輪を入れる箱の準備をしてきますと言い残して部屋を出ていく。
二人きりになり、イグナートはあらたまった様子で一度咳払いをするとライザの左手を握った。