【書籍化決定】身体だけの関係だったはずの騎士団長に、こっそり産んだ双子ごと愛されています
久しぶりのヴェーラとのお茶会は、とても楽しく過ごすことができた。かつて仕事中に強引に連れて行かれた時とは、大違いだ。あの頃は勝手な思いつきで仕事の邪魔をして申し訳なかったと、ヴェーラも遠い目をしつつ笑う。
挙式を控えているヴェーラの惚気まじりの話を聞いたり、時々ライザとイグナートの仲について聞かれたりしながら、あっという間に時間は過ぎていく。
食事も喉を通らないほど緊張していたはずなのに、いつの間にかライザはすっかりリラックスしてお茶会を楽しんでいた。
「ライザの指輪、素敵だわ。こればかりはイグナートのセンスを認めずにはいられないわね。お互いの色が交じりあうなんて、最高にロマンティック」
「ありがとうございます。ヴェーラ様たちみたいに、お揃いのイヤリングを身に着けるのもいいですね」
「お揃いっていいわよね。デザインは同じものなんだけど、石はお互いの色なのよ。彼はわたくしのもの、わたくしは彼のものってさりげなくアピールできる気がするのよね」
「素敵ですねぇ……。ヴェーラ様のドレス姿もきっと綺麗でしょうね、すごく楽しみです」
「ふふ、仮縫いが近々完成する予定なの。試着の時はぜひライザも見に来てちょうだい」
「えぇ、ぜひ」
顔を見合わせてくすくすと笑っていると、玄関のほうで誰かが大きな声で話すのが聞こえてきた。
その声に聞き覚えのあったライザは、一瞬で顔をこわばらせる。お茶会に夢中になっていて気づかなかったが、両親が訪ねてくる時間になっていたようだ。
急に息苦しくなったような気がして、ライザは胸に手を当てながらヴェーラを見る。
「……ヴェーラ様、申し訳ありません。お茶会はとっても楽しかったのですが、本日はここまでとさせてください」
「あぁ、アントノーヴァ伯爵夫妻がいらしたのね」
にっこりと微笑んだヴェーラは、優雅な仕草で立ち上がった。
「大丈夫よ、全部知っているわ。何かあればわたくしも加勢に行くから」
「えっ、ヴェーラ様が……?」
「だって、わたくしの大切なお友達のことですもの。メーレフ公爵には、わたくしも世話になっているし。あなたはもう、ライザ・アントノーヴァではないわ。あなたの名前は、ライザ・メーレフ。そうでしょう?」
ヴェーラの言葉に、ライザは驚いて目を丸くする。ライザの家の事情だけでなく、養子になったことまで知っているとは思わなかった。ライザの顔を見て、ヴェーラは小さく笑った。
「少し前に、イグナートに頼まれたのよ。メーレフ公爵に、ライザを養子に迎える件を後押ししてくれって」
「ヴェーラ様が口添えしてくださっていたなんて……」
「大したことはしていないわ。公爵は、わたくしが何も言わなくてもそうしたと思うから」
そう言って、ヴェーラはまっすぐにライザを見つめた。その表情は慈愛に満ちていて、まるで包み込むような優しさがある。確かにこの方は聖女なのだと思いながら、ライザはその視線を黙って受け止めた。
「ライザ、あなたの味方はたくさんいるわ。だから、あなたを大切にしない人とはここでしっかりと、決別していらっしゃい」
「……はい」
覚悟を決めたライザは、ごくりと唾を飲み込んでうなずいた。
両親は、きっとイグナートとの結婚を認めないだろう。親子の縁を切ったことも、話すことになる。どう考えても平穏に終わるとは思えないが、これを乗り越えなければ幸せになることはできない。
震える手を強く握りしめて、ライザは玄関のほうを見つめた。
挙式を控えているヴェーラの惚気まじりの話を聞いたり、時々ライザとイグナートの仲について聞かれたりしながら、あっという間に時間は過ぎていく。
食事も喉を通らないほど緊張していたはずなのに、いつの間にかライザはすっかりリラックスしてお茶会を楽しんでいた。
「ライザの指輪、素敵だわ。こればかりはイグナートのセンスを認めずにはいられないわね。お互いの色が交じりあうなんて、最高にロマンティック」
「ありがとうございます。ヴェーラ様たちみたいに、お揃いのイヤリングを身に着けるのもいいですね」
「お揃いっていいわよね。デザインは同じものなんだけど、石はお互いの色なのよ。彼はわたくしのもの、わたくしは彼のものってさりげなくアピールできる気がするのよね」
「素敵ですねぇ……。ヴェーラ様のドレス姿もきっと綺麗でしょうね、すごく楽しみです」
「ふふ、仮縫いが近々完成する予定なの。試着の時はぜひライザも見に来てちょうだい」
「えぇ、ぜひ」
顔を見合わせてくすくすと笑っていると、玄関のほうで誰かが大きな声で話すのが聞こえてきた。
その声に聞き覚えのあったライザは、一瞬で顔をこわばらせる。お茶会に夢中になっていて気づかなかったが、両親が訪ねてくる時間になっていたようだ。
急に息苦しくなったような気がして、ライザは胸に手を当てながらヴェーラを見る。
「……ヴェーラ様、申し訳ありません。お茶会はとっても楽しかったのですが、本日はここまでとさせてください」
「あぁ、アントノーヴァ伯爵夫妻がいらしたのね」
にっこりと微笑んだヴェーラは、優雅な仕草で立ち上がった。
「大丈夫よ、全部知っているわ。何かあればわたくしも加勢に行くから」
「えっ、ヴェーラ様が……?」
「だって、わたくしの大切なお友達のことですもの。メーレフ公爵には、わたくしも世話になっているし。あなたはもう、ライザ・アントノーヴァではないわ。あなたの名前は、ライザ・メーレフ。そうでしょう?」
ヴェーラの言葉に、ライザは驚いて目を丸くする。ライザの家の事情だけでなく、養子になったことまで知っているとは思わなかった。ライザの顔を見て、ヴェーラは小さく笑った。
「少し前に、イグナートに頼まれたのよ。メーレフ公爵に、ライザを養子に迎える件を後押ししてくれって」
「ヴェーラ様が口添えしてくださっていたなんて……」
「大したことはしていないわ。公爵は、わたくしが何も言わなくてもそうしたと思うから」
そう言って、ヴェーラはまっすぐにライザを見つめた。その表情は慈愛に満ちていて、まるで包み込むような優しさがある。確かにこの方は聖女なのだと思いながら、ライザはその視線を黙って受け止めた。
「ライザ、あなたの味方はたくさんいるわ。だから、あなたを大切にしない人とはここでしっかりと、決別していらっしゃい」
「……はい」
覚悟を決めたライザは、ごくりと唾を飲み込んでうなずいた。
両親は、きっとイグナートとの結婚を認めないだろう。親子の縁を切ったことも、話すことになる。どう考えても平穏に終わるとは思えないが、これを乗り越えなければ幸せになることはできない。
震える手を強く握りしめて、ライザは玄関のほうを見つめた。