私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
数分してから一口含めば、甘さが口に広がった。


「・・・美味しい」


「今ある分は置いていくから好きに飲め。また今度持ってくる」


その言葉には素直に頷いた。


再度台本に視線を向ける皇にふと、興味本位で聞いてみる。


「ココアのお礼に読み合わせ手伝いましょうか?」


断られると思い聞いたのだが案外そんな事はなく、目を丸くしたかと思えば優しく微笑んで頼むと口にする。


時々こいつも子供のような表情をするよな。ほんと稀だけど。


きっかけは私の一言なんだが妙な事になった・・・。


困惑気味に台本を受け取りながらペラペラと読み進める。


結構原作に忠実な台本なんだな。


本来の役のセリフを皇が口にし、私がそれ以外の登場人物の言葉を読み上げる。


こう見ると王子の登場シーンって少ししかないんだな。


会話らしい会話なんて白雪姫の目覚めた後と、今回の劇では結婚式で愛の言葉を交わして幕を終えるそうなのでその辺ぐらいじゃないか。


それでもちゃんと練習しようとしているのだからこいつも人がいいというかなんというか。


「白雪姫、私は貴女をこれからも守り抜くと誓う」


「嬉しいわ、王子様」
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