私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
血を流し過ぎたのか冷酷な言葉を聞いてなのかは分からないけど、ピタリと動かなくなった男の人をましろちゃんは表情一つ変えずに投げ捨てる。


それはもうゴミをゴミ箱に捨てるような、そんな仕草。


自分の身よりもいつだってあたし達のことを気に掛けてくれる。


そんな彼女からはあまりにもかけ離れていた。


あたし達の事を気にする様子もなく立ち上がり、くるりとあたしたちの方へ振り返るましろちゃん。


ううん、正確にはあたし達の先に居るキョウさんに向かってだ。





(気のせいじゃ、なかった)


覗いた瞳に輝きは無くて、その色はまるで血のような色を浮かべている。


濁ったような瞳は西の人と関わるようになって気付いた特徴。


愛ちゃんやキョウさん。時折皐月くんも見せる事はあったし今思えば鈴原さんも。


『・・・話聞いてたんじゃないの?そいつ西の人間だったんだよ?まだ仲良くするつもり?』


分かってた。


分かってたはず、なのに。


誰も映さないとばかりに暗い闇を浮かべる瞳に、嫌というほど現実を突きつけられているようで。


「・・・ましろちゃん」


なぁに?ってどんな小さな声でも気づいてくれたよね。


今じゃこちらに視線を向けることもなく目の前を通り過ぎていくましろちゃん。


少しでも貴女に近付けた気になっていたあたしの前にまた一つ、大きな壁で隔てられた気分になる。
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