私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
指を伸ばせば触れられるぐらい近くを通ったのに、


ましろちゃんは一度もあたしを見なかった。


すぐ隣を通ったはずなのに、


とても遠く感じた。


それが悲しいって、今にも泣きそうになるあたしはこの場に似つかわしくない。


ほんと、わがままでどうしようもない。





「てめぇ俺達を無視しやがって!」


周りに居た男の人達がましろちゃん目掛けて飛び掛かる。


あの光景で萎縮していた姿を見ているから強がりだってことは分かるけど、ましろちゃんの身が危ない事には変わらない。


「あやな、」


文くんの声が聞こえる。


文くんだけじゃない。他の皆も助けに行こうと動いてたのは見えていた。


しかし、そんな隙を与えることもなくましろちゃんは眉一つ動かずにあしらっていく。


ましろちゃんが戦う姿は一度だけ見たことがある。


最低限の動きだけで軽やかに戦う姿は何故か品があって、いつまでも見ていたいような目を引かれる戦い方。


だけど今のましろちゃんの戦い方は、凄まじい速さで的確に急所を突いていくスタイル。加減を知らないと言うべきなのか、獲物を次々に仕留めていく狩りのような戦い方が目の前で繰り広げられていく。


「ましろんあんなに強かったんだ・・・」

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