私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
「どれだけ強かろうとあの状態で戦い続けてたら身が持たない」


黙って見ている事しかできないあたし達と違ってこの瞬間にも朔夜くんはましろちゃんの身を案じている。


「お前たちはここで待ってろ。安全が確保できたら綾波と優里をすぐに病院に連れていく」


朔夜くんはついて来いとは言わない。


あたしは皆の傍に居るから喧嘩は何度か見たことがある。肉がぶつかり合う音、人が吹っ飛ぶところ、そんなの初めてじゃない。


むしろ普通に過ごしていれば見ないような喧嘩が当たり前、なんだと思う。


だけどましろちゃんの強さは脅威的なものだと思う。


皆が相手でも、


あの中に一人で入るのは話が違う。


・・・朔夜くんを除いて。


だからこそ一人でも行こうとしてるんだ。





最後の一人が倒れた瞬間、突然ましろちゃんの動きが止まる。


朔夜くんも今は軽率に動くべきではないと判断したのかましろちゃんの動きを止めた相手、───────キョウさんを睨みつけるように監視する。


「やっとこっち見てくれたな?」


「罪名の通り、嫉妬か?キョウ」


「はっ、上手い事言うなァ?・・・あーあ、また酷い目にあいたくなきゃ指示通りに動けってちゃんと忠告したのに」


背後から首元にあてられているナイフが僅かに動きましろちゃんの首から一筋の赤が流れる。

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