私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
「・・・ああ、そうだ」


悲しいほどに冷たい声。


ましろちゃんは馬乗りになってキョウさんの首へと腕を伸ばした。


「あいつがどうやって死んでいったかをその身で味わえ」


「────かはっ、」


首を締め上げる細い腕。


ずっと、ずっと、


ましろちゃんはこの光景から抜け出せないでいるんだ。





「昴!龍二!二人は優里を守れ」


朔夜くんの言葉に奏くんと文くんが後に続いて駆け出す。


「まって!あたしも、」


「いけませんッ!言いたくはないですが、あの状況のましろさんが素直にこちらの言うことを聞いてくれるとは思えません」


「昴くん・・・」


そんなの、わかってるよ。


ましろちゃんにあたしの声がまったく届いてないことぐらい。





「ましろんっ!・・・ましろんお願いだからもうやめてっ!」


「綾波!お前そんなボロボロの状態で無理するなッ!」


「・・・綾波っ」


男の子三人だもん。ましろちゃんは抵抗を続けるもののキョウさんの元から引き離される。


「どけッ!どけよ!!こいつは、・・・こいつだけは今ここで殺してやるッ!」


掠れた声に荒い呼吸。


振り払おうと暴れる度に、乱れた髪が揺れる。


その赤い瞳は、まだキョウさんだけを捉えていた。


あたし達なんて、眼中にない。
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