私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
その言葉に、皆が黙る。


止めたかった。


止めたかったに決まってる。


でも、止められなかった。


この人を責めることもできない事も事実で。


そのやるせなさで唇を噛み締めた。


「それでも連れていかせる訳には行かない。お前の腕の中なら尚更だ」


「・・・へー?」


「こいつはもう東の人間だ」


「朔夜お前、」


あたしが口にできなかった事を朔夜くんはさも当然とばかりに言ってのける。


ああ、


変わらずに、


迷いもなく、


いられる朔夜くんが羨ましくて仕方がない。


「面白れェじゃん?イツキー!」


わっ、急に何!?


屋上の入口の方へ人の名前?を呼んだみたいだけど、まさか増援!?


「・・・何」


ハラハラしながら待ち構えていると、こちらにやってきたのはなんと皐月くんのお兄さん。


皐月くんのお兄さんイツキさんて言うんだ・・・。


「お前ちょっとこいつ預かってろ」


何をするんだろうって黙って見ていれば、あろうことか男の人は躊躇なくましろちゃんをイツキさんに向かって投げた。


本当に、遠慮なんて微塵もなく。


「っちょっと!」


ましろちゃんは怪我人なのに!
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