私は✕✕を知らないⅡ
15章.瑠璃川 文
side,文
街の夕方のチャイムが流れる。
「おれ帰るよー」
砂場を出て洋服についた砂を軽く落としながらランドセルを背負う。
「もう帰るんですか?」
「うん。かーさん心配させたくないし」
本当はおれももっと遊びたいけど・・・。
帰りたくない気持ちを隠すように首を振って急いで家に帰る。
玄関のドアの前で深呼吸を一回。
大丈夫。今日は上手くできる。
背伸びをしてギリギリ届くドアノブを掴んで玄関を開けた。
「ただいまー」
おかえりが返ってこないのはこの頃から理解してたけど、いつか言って貰える時があるかもって期待を込めて挨拶だけはちゃんとしてた。
「かーさん?」
すぐに見つからない母親を探す。
夕焼けに染まった室内と窓の外から聞こえるカラスの鳴き声が妙に怖く感じた。
見つからないと言っても台所以外にはリビングと寝るだけの部屋しかないんだから探す場所なんて限られてる。
畳まれてない洗濯物などでほとんどが埋め尽くされたリビングの中央にその人はしゃがみこむようにして居た。
「かーさ「今何時?」っ、」
ぼさぼさの髪にやせ細った身体。そして何も映さないと訴えるその瞳でおれを見つめる。
街の夕方のチャイムが流れる。
「おれ帰るよー」
砂場を出て洋服についた砂を軽く落としながらランドセルを背負う。
「もう帰るんですか?」
「うん。かーさん心配させたくないし」
本当はおれももっと遊びたいけど・・・。
帰りたくない気持ちを隠すように首を振って急いで家に帰る。
玄関のドアの前で深呼吸を一回。
大丈夫。今日は上手くできる。
背伸びをしてギリギリ届くドアノブを掴んで玄関を開けた。
「ただいまー」
おかえりが返ってこないのはこの頃から理解してたけど、いつか言って貰える時があるかもって期待を込めて挨拶だけはちゃんとしてた。
「かーさん?」
すぐに見つからない母親を探す。
夕焼けに染まった室内と窓の外から聞こえるカラスの鳴き声が妙に怖く感じた。
見つからないと言っても台所以外にはリビングと寝るだけの部屋しかないんだから探す場所なんて限られてる。
畳まれてない洗濯物などでほとんどが埋め尽くされたリビングの中央にその人はしゃがみこむようにして居た。
「かーさ「今何時?」っ、」
ぼさぼさの髪にやせ細った身体。そして何も映さないと訴えるその瞳でおれを見つめる。