私は✕✕を知らないⅡ
(だからってこうなっては元も子もないだろうに)
自分よりも症状が酷い者を見て冷静になっているからか、一日中付き纏っていた不快な気持ちは幾分かマシになった気がする。
瑠璃川にこんな思いをさせるって分かってたら止めたのに・・・。
「・・・肩、使っていいから」
「・・・ありがと」
少し先で賑わう祭りの様子を見ながら太鼓の音に耳を澄ませる。微かに横から聞こえる呼吸は徐々に安定していってるようだ。
「自分でも驚いたんだよ」
瑠璃川と合流した旨をLIMEで送ると当時に、何かを思い出すようにして瑠璃川が話すものだからそっとスマホを閉じる。
「あの女達に面と向かって言えた。震えずに言えた」
「うん・・・」
「打たれたのだけがちょっと、引っかかって・・・」
袖を掴む手をそっと上から握る。
「嫌なこと、思い出しちゃった?」
聞いてほしいのかな、なんて思ってしまったが間違っていたらどうしよう・・・。
・・・怯むな。こいつらについて知りたいと決めたんだ。
自問自答を繰り返し呼吸を整えて瑠璃川の次の言葉を待つ。
だがどうやらそれは杞憂だったようで瑠璃川は続ける。
「俺、───────────母親を殺してるんだ」
それは幼い子供が抱えるには重たすぎる過去だった。
自分よりも症状が酷い者を見て冷静になっているからか、一日中付き纏っていた不快な気持ちは幾分かマシになった気がする。
瑠璃川にこんな思いをさせるって分かってたら止めたのに・・・。
「・・・肩、使っていいから」
「・・・ありがと」
少し先で賑わう祭りの様子を見ながら太鼓の音に耳を澄ませる。微かに横から聞こえる呼吸は徐々に安定していってるようだ。
「自分でも驚いたんだよ」
瑠璃川と合流した旨をLIMEで送ると当時に、何かを思い出すようにして瑠璃川が話すものだからそっとスマホを閉じる。
「あの女達に面と向かって言えた。震えずに言えた」
「うん・・・」
「打たれたのだけがちょっと、引っかかって・・・」
袖を掴む手をそっと上から握る。
「嫌なこと、思い出しちゃった?」
聞いてほしいのかな、なんて思ってしまったが間違っていたらどうしよう・・・。
・・・怯むな。こいつらについて知りたいと決めたんだ。
自問自答を繰り返し呼吸を整えて瑠璃川の次の言葉を待つ。
だがどうやらそれは杞憂だったようで瑠璃川は続ける。
「俺、───────────母親を殺してるんだ」
それは幼い子供が抱えるには重たすぎる過去だった。