私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
「はぁぁあああ!?いきなり現れてなんなんだよお前っ!」


「さっきの聞いてなかった?人の話はちゃんと聞くべきだよ」


「俺が言ってるのはそういうことじゃねぇ!」


不快そうに返す橘さんにあたしの代わりに怒ってくれる文くん。こんな状況をあたしはどうすればいいのか分からなくてあたふたしてしまう。


教室の皆も困惑という文字を思い浮かべてると思う。


う、うう。どうすれば・・・!





「なんの騒ぎ?うるさいんだけど」


眠たそうに目を擦りながら横でましろちゃんが体を起こす。


横でこんなに騒いでたら起こしちゃうよね・・・!


それはごめんなさい!だけどましろちゃん助けてっ!


必死に視線で訴えていたのが伝わったのかましろちゃんがこちらを見る。


「は?」


ましろちゃんの表情が驚きに変わる。震えながら指差す方向には橘さんが居て。


「なんで皐月がここに・・・」


転入生の名前を口にしたんだ。


次に驚くのはあたし達の番。


ふ、二人とも知り合いなの?


橘さんは名前を呼ばれた事が嬉しかったのか後ろで腕を組んでましろちゃんの方へ一歩近づく。まるであたし逹なんて視界に入っていないかのように。





「久しぶり、ご主人様。─────会いたかった」





にんまりとそれはもうお人形さんのように可愛らしい笑みを浮かべて。
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