私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ

18章.体育祭-後半-









「結構いいじゃん」


「おっ、結構いいじゃん頂きました!」


午前の競技は全て終わり、皆と昼を共にする。


水嶋と谷垣が作った料理はどちらも美味しい。


頬が落ちそうになるのを抑えながら次々に箸を伸ばす。皐月もこれには満足の様子だ。


「ましろちゃん前よりも食べれるようになったね」


「今日は沢山動いたしね」


恥ずかしくて濁したが優里の言うとおり、ここ最近の私は人並みに食べれるようになっていた。


好みを知られたからか絶妙な味付けの料理を出してくるのだから仕方ない。


一日に二食というのはまだ難しいが・・・。


あと、肉がついてきたように感じるのが少し悩みだ。


このまま餌付けされ続けたらぶくぶくと太りそうで怖いんだよなぁ。


甘い卵焼きを頬張りながら噛み締める。





「──────!?」


「────、───────!」


「あれ、なんか騒がしいな」


「どうしたんだ?」


耳を澄ませば確かに校門の方から体育祭の騒がしさとは異なる何かが聞こえる。


そちらへ目をやれば皇と藤城が立ち上がる。


「昴」


「はい。我々が確認してくるので皆さんは食べていてください」


慌ただしく校門へ向かう二人を見送り、気にかけながらも食事を再開する。


「皐月」


「分かってるよご主人様」
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