私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ
おかずに手を伸ばす皐月。私もその横で取る素振りを見せながら耳打ちをする。


やはり皐月も気付いていたか。


こいつらは気付いていただろうか。いや、気付いたところでか。


先程校門で騒ぎを起こしていた奴ら。一瞬だが体のどこかしらに赤を入れているのが見えた。


それは西の人間である証拠だ。


力で今の場所を勝ち得た七つの大罪。彼らの立場を虎視眈々と狙う輩が多いものの、その存在に盲目的に憧れを抱いている奴らだっている。


そんな奴らは大罪を真似て体のどこかに赤を入れていたりするのだ。


こいつらには教えていなかった情報だからな。後で共有しておかなくては。


しかし何故西の人間が旭ヶ丘に・・・。


何かあった時の為に皐月には動いて貰うとして、二人が対応しているのだからここは私の出る場面ではないな。





暫くして二人と、手洗いにと席を外した皐月が戻る。


この子を見るに騒ぎはすぐに収まったか。


「後で説明する。今はこちらに集中してくれ」


皇の言葉に私と皐月以外の皆が頷く。


確かにこいつの言葉には説得力や妙な安心感があるよな。


『それでは午後の部を5分後に始めます。皆さん準備の方をお願いします』


放送の指示に従い私達もグランドへと戻る。
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