私は‪✕‬‪✕‬を知らないⅡ





体育祭は赤組が優勝を収めた。





体が疲れを訴える中、私達は皇の家に集まっていた。


無事に体育祭は終わったものの、昼の騒ぎについて説明を受けていなかったためである。


他の皆が説明を聞いている間に私は他の事へ頭を回転させる。





それは薄々気づいてた"違和感"。





「西の人達が来てたなんて・・・」


「ええ。それによって新たな問題が浮かび上がりました」


「・・・一つ、ましろんが攫われた件」


「そして優里ちゃんが攫われた件か」


「そして東の生徒が全員集まる体育祭の今日、だよな」


「えっと、問題って・・・?」


私は違和感の正体を口にする。


「・・・何もかもがタイミングが良すぎるのよ」


「ああ。俺達は他の区に情報を流している内通者、





──────"裏切り者がいる"





とみている」





皇の冷ややかな視線と言葉にこの場にいる全員が息を呑む。


ここ数ヶ月で起きた事件。私が南に攫われた件、これは偶然としよう。


しかし優里は?南が機会を狙っていたにしろ校内で誘拐されている。


東の中でもっともトップに近い人間が集まる旭ヶ丘で容易に侵入できてしまっているのだ。


それに決め手は今日の騒ぎ。これはもう情報提供者の影を疑う他ないだろう。
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