俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
黒見はこちらで仕事の際はいつもここに泊っているらしい。
ロビーに入りフロントに向かおうとすると、手前のソファを指さされた。
「宮内は座って待ってろ」
「いえ、私がまとめてチェックインしてきます」
「いい、俺がやる」
梨乃を置いてさっさとフロントで手続きをしている彼の後姿を見つめた。
(CEOにやらせていいの?)
もしかすると海外に不慣れで頼りないと思われたのだろうか。
黒見に比べるとそうなるが、チェックインの手続きくらいは問題なくできるのに。
手早く手続きを終えた黒見が視線で来いと訴えている。彼の後を追い、エレベーター前で隣に並んだ。
預けた荷物は部屋に運んであるそうで、手ぶらのベルマンは回数ボタンのパネルを操作しただけで乗り込まない。
黒見と梨乃だけを乗せたエレベーターが扉を閉めてから、梨乃はおかしな点に気づいた。
回数ボタンはラウンジバーのある最上階の、ひとつ下の階しか光っていないからだ。
「私の部屋は何階でしょう?」
「ついてくればわかる」
淡白な口調だが、答えるまでに一拍の間が空いていたのが引っかかった。
(平社員の私の部屋がそんな上階のはずはない。なにか隠してる? 嫌な予感が……)
エレベーターが扉を開けると明らかに他のフロアと様子が違った。
目の前にあるのは長く伸びる廊下ではなく、両開きの豪華な白い扉だ。