俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
彼はコートを脱いでハンガーにかけると、続き部屋のドアを開けていた。

チラッと見えたその奥はどうやらキッチンダイニングのようだ。

「コーヒー淹れようと思うんだが、宮内もどうだ?」

「はい。いただきます」

梨乃もコートを脱いでから黒見のあとに続く。

こちらも広く豪華で最新のシステムキッチンが備わっている。

(私の1LDKの賃貸マンションよりこのスペースの方が広い。なんて贅沢な空間の使い方なの。バスルームや寝室もすごそう。自分の部屋に行く前に興味本位で見学させてもらおうかな)

黒見が引き出しからコーヒーカップを出している。

「私が淹れます」

部下の立場なので急いで申し出たが、「座ってくつろいでろ」と返された。

最新のコーヒーマシンにコーヒー粉のカプセルとカップをセットしてスイッチを押すだけのようだが、CEOの彼にやらせて申し訳ない。

「すみません」

先に座るのは遠慮して彼の隣で眉尻を下げると、なぜか不満げな顔をされた。

「やけに低姿勢だな」

「末端社員ですから」

「今は業務時間外だ。楽にしてろ。敬語もいらない」

(そんなわけにいかないでしょ)

コーヒーの芳しい香りが漂い、青いカップに注がれる音が心地いい。

カップは高級そうだがなんとなく馴染みがある。有田焼だろうか。宿泊客の国籍を意識したホテルの計らいに感心した。

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