俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
コーヒーカップをソーサーに載せて渡された。

「ありがとうございます。シュガーとミルクは……あ、テーブルにありますね。黒見CEOもお使いになりますか?」

二杯目のドリップを始めている黒見から小さなため息が聞こえた。

「敬語はいらないと言っただろ。緊張していると休まらないぞ」

「お気遣いありがとうございます。自分の部屋に行ってから気を抜くので大丈夫です」

コーヒーをダイニングテーブルに置こうとしていた。これを飲み終えたら自分の部屋に行くつもりでいる。

黒見が振り向いた。視線が交わっているのに真顔で黙ったままなのはなぜだろうか。

固い口調を崩そうとしない強情さに呆れているのかと思ったが――。

「ここが宮内の部屋だ」

「えっ……? すみません、もう一度お願いします」

早口の英語でもないのに理解できず聞き返した。

「この部屋を俺とお前の二名で予約している。経費ではないから安心しろ」

危うくコーヒーをこぼすところだった。

目を見開いて黒見を見たが、後ろめたさはないのかまったく動じていない様子だ。調理台の縁に寄りかかり、腕組みをしている。

(どうして堂々としていられるの? こんなの公私混同でしょ)

マーケティング部で出張同行を告げられた時、最初はそれを疑った。

< 111 / 238 >

この作品をシェア

pagetop