俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
けれども内容を聞くと新プロジェクトの参考になりそうなイベントの視察だということで、疑ったことを反省した。

それが蓋を開けてみればやっぱり公私混同で、思わず眉根を寄せる。

「失礼ですが同じ部屋なのは困ります。交際を断ったのをお忘れですか?」

「この部屋を楽しんでもらえると思ったんだが。手は出さない。嫌がる女に手を出す趣味はないんだ。ここはベッドルームが三部屋、バスルームも同じ数だけある。同じ部屋だと言っても実質、三部屋を予約したようなものだ」

黒見が自分の分のコーヒーカップを手にダイニングテーブルの席に着いた。

向かいの席を手で示されたが、梨乃はまだ警戒心を緩められず立ったままである。

(そう言われるとたしかに無防備な姿を見られずに過ごせそうだけど、本当にそんな理由なの?)

「疑っているのか。本心を言うと、宮内とゆっくり食事をして話したいからこの部屋にした。プライベートでは対等でラフな関係を築きたい。そのためにはもっと話してお互いを知る必要があると思ったんだが」

コーヒーを口にしている黒見の眉尻は下がっていた。

初めて見る寂しげな表情に心臓が波打つ。

(もっと仲良くなりたいという思いは、意外と純粋なのかも……)

チョロい女だと思われるかもしれないが、下心がないのを信じて警戒を緩め彼の向かいの席に座った。十人掛けのダイニングテーブルの端っこだ。

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