俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
持参したルームワンピースに着替えた梨乃はリビングの四人掛けソファの端に座り、甘口のデザートワインを飲んでいる。

目の前のローテーブルにはワインボトルが二本とつまみが載っている。

黒見はテーブルの角を挟んだ隣のひとり掛けソファに足を組んで座っていて、その手のワイングラスには梨乃が飲んでいるものとは違う辛口の白ワインが入っていた。

つまみの皿のサラミが美味しそうだが、満腹なので手をつけていない。

夕食は窓際のテーブルセットが組まれた場所で夜景を見ながらいただいた。

シェフまでやってきて、この部屋のキッチンで仕上げた出来立ての豪華料理を堪能させてもらった。

黒見の財力は計り知れない。夢のようなセレブなひと時を楽しみ感謝する気持ちと、餌付けされているような感覚でこれでいいのかという戸惑い、それとなにをくれても恋には落ちないぞという気合い。この三つの感情が入り混じった夕食だった。

今は満腹感も手伝って気を張らずに黒見の晩酌につき合っている。

プライベートの話もする約束をしたので、彼に聞かれるがままに私生活を教えた。

なんてことはないごく普通の女性のひとり暮らしの内容が面白いのかは疑問だが。

黒見は空になった自分のグラスにワインを手酌しながら聞いている。その口角はずっと上向きだ。

「部屋に蝉が入ってきた話、慌てたというだけで特にオチもないのに楽しいですか?」

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