俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
夕食時は飲酒しなかったので、今グラスに入っているのが一杯目だ。

まだほろ酔いにも達していないつもりでいるが、遠慮のない口の利き方をしているということは自覚しているより酔っているのかもしれない。

黒見はワイシャツにスラックス姿で、ネクタイはなく襟のボタンをふたつ外している。

たったそれだけなのに妙に色気を感じて、鼓動が高まらないよう会話だけに集中しようとしていた。

「くつろいで酒を飲みながら宮内と話しているこの状況が楽しい」

(私がなにを話しても楽しめるということ? 随分と気に入られているようだけど、なんでだろう)

ずっと心に引っかかっていた疑問をまた感じた。

彼の執務室に初めて呼ばれた時を振り返ると、失礼な嫌疑をかけられたのでこちらも無礼を承知で反論した。

そんなバチバチのやり取りをしたあとにいい女だと言われて交際を求められたということは、生意気な女性が好みなのかもしれない。

(でも私より生意気な女性はきっとたくさんいる。生意気さの加減がちょうどいいとか? ダメだ。そんな理由じゃ納得できない)

「お前は退屈か?」

徐々に飲酒の影響が出てきた頭で考えていると黙り込んでしまい、黒見に勘違いさせてしまった。

「いえ、意外と楽しいです」

「意外と、なのか」

梨乃の言葉を反復して黒見がクッと笑う。

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