俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
寝落ちするまでの記憶はある。自分のどこが好きなのかだなんてよく聞けたものだ。昨夜の自分には、呆れと関心と恥ずかしさが混ざったような心境でいた。
寝室に入らないよう約束させておきながら、彼にベッドまで運ばせたのはさらに恥ずかしい。
(あれ? そういえばどうやって運んでくれたんだろう。まさか、お姫様抱っこ?)
たぶんそうだと思い愕然とする。
(私って隙だらけ? それに絶対に重かったよね。あんなに食べたもの)
贅沢なディナーは梨乃には量が多かったが、もったいないと思って完食した。それを今さらながらに後悔する。
歩きながら黒見の横顔をチラチラ見ていると、怪しんでいると思われたようだ。
「手は出していないぞ」
「わ、わかってます」
ひとり旅の夜は警戒せずに部屋の鍵を開けようとして黒見に注意された。そういう人なので、酔った女性に手を出すとは思っていない。
「黒見CEOは誠実な方だと信じていますので」
(少々口は悪いけど)
「どうだろうな。好きな相手に対していつまで堪えられるかわからないぞ」
蠱惑的な笑みを口の端に浮かべた彼が視線を梨乃に流す。
心臓が波打った直後に腰に片腕を回され強く引き寄せられた。
「なっ……!?」
驚きと非難の混ざった目を向けてしまう。
(誠実期間はもう終了ってこと?)