俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
長い金髪をひとつに結わえ、普通の服装だ。スタッフジャンパーを着ていないということはプライベートで見にきたのだろうか。

遠目だがスタイルのいい美女というのはなんとなくわかった。

(ふーん、親子で同じ会社なんだ。私なら働きにくくて嫌だな)

その程度の興味と感想しか持たなかったが、スコットの声に深刻そうな響きが混ざる。

「ミスター黒見に会いたくてイベントに来たのかもしれないわ。奪われないように気をつけて。ふたりは過去に交際していたのよ」

「元恋人?」

「そうよ。八年ほど前の話だけどキャサリンの方がご執心といった雰囲気だったわ。ふたりともまだ独身だから彼女がなにかを期待していてもおかしくないと思うの。一応忠告しておくわ」

黒見は後ろを向いているのでどんな顔をしているのかわからないが、彼女の方は笑顔だ。

動揺が胸の中に静かに広がる。

(なんなの。この気持ちは……)

嫉妬や焦りとまではいかないが、ふたりの距離がやけに近い気がして不快に感じた。

(元カノが復縁を狙っていても私にはまったく関係ないのに、どうして嫌だと思うの?)

まだ新しい恋を始めたくない。加えて黒見は雲の上の人で交際は考えられない。

それなのにまるで恋愛中のように心が揺れるので、落ち着かなければと自分に言い聞かせた。

「昨日もお話した通り、私は黒見CEOの恋人ではありませんので」

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