俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
社名を聞いたこともなかった梨乃は、役立たないどころか黒見のお荷物になるだろう。

(あなた誰?って顔をされるよ。きっと)

それでも黒見が同行を求めるのなら、「わかりました」以外の返事はない。

「出発は三十分後でしたよね?」

「ああ。支度が間に合わないなら少し遅らせるが」

「いえ、五分あれば整います」

友人の結婚式で何度か活用した紺色のシンプルなワンピースとパールのネックレスを持ってきている。

それに着替えて口紅を塗り直すのにかかる時間は五分で足りる。

しかしなにかを疑問に思った様子の黒見に眉根を寄せられた。

「なにを着るのか見せてくれないか?」

「いいですよ」

クローゼットの扉を開け、ハンガーごとワンピースを出して見せる。

「その服ではダメだ」

「えっ、どうしてですか?」

「日本なら問題ないが、ここでの夜のパーティーはシックな装いだと主催者に失礼に当たる。和服なら問題ないんだが、洋装なら華やかさが必要だ。事前に伝えておくべきだった。すまない」

「いえ、私の方こそ考えが及ばずすみません。どうしましょうか?」

留守番を命じてくれるならありがたいが、腕時計に視線を落として黒見が言う。

「ドレスを買いにいこう。俺が着替えたらすぐに出る。準備をしておいてくれ」

「は、はい」

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