俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
(やっぱり場違い感が……いや、大丈夫。せっかく黒見CEOがハイブランド品で武装させてくれたのに、弱気になっていたら申し訳ない。堂々としていればそこまで浮いて見えないから。たぶん……)

意識して胸を張り、黒見の隣を歩く。ビュッフェスタイルなのでご馳走が長テーブルにずらりと並んでいた。

開始時間ギリギリの到着だったようで、誰かと挨拶する間もなく奥の壇上で主催者のスピーチが始まった。

話しているのは五十代の恰幅のいい男性だ。クライフ社とは十年ほどビジネス関係にあると黒見が教えてくれた。

英語が堪能ではない梨乃には理解できない部分もあったが、時々会場が笑いや拍手に包まれて和やかな雰囲気だ。もちろん黒見は皆と同じような反応をしている。

(英語力をもっとつけないと。帰国したら勉強しよう)

またこういう機会があった時のためにと思ったのだが、よく考えると次回はない。

(また連れてきてもらえると思っていたの? 黒見CEOのパートナーならわかるけど、ただの社員がパーティーにまで同行するなんて今回限りだよ)

自分にツッコミを入れていると、ホテルスタッフにシャンパングラスを渡された。これから乾杯するのだろう。

主催者が壇上でグラスを掲げると、「チアーズ」という大勢の声が重なった。

グラスに口をつけた直後に黒見に釘を刺される。

「あまり飲むなよ」

「気をつけます」

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