俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
いつもの席に向けて歩いてくる宇津木とテーブル間の通路で鉢合わせた。

「宇津木さん、おはようございます」

逃げたい気持ちを抑えようとして笑みを強める。

無視されるのを覚悟していたのに、「おはよう」と彼女も口角を上げて返事をしてくれたので驚いた。

(よくわからないけど、敵視するのはやめてくれたの?)

喜びかけたその時、すれ違いざまに低い声で言われる。

「なに勝ち誇った顔をしてるのよ」

(ますます嫌われたみたい)

喜んでしまった分ショックを受けたが、仕事に支障がなければ問題ないと心に言い聞かせ、梨乃も着席してノートパソコンを開いた。

スケジュール確認やミーティング、プロジェクトメンバーからの報告などを受けているとあっという間に午前中が終わり、いつもより三十分遅れて昼休みに入った。

午後は広告代理店とのウェブ会議がひとつスケジューリングされているが、夕方からなのでそれまでは自分のペースで仕事ができるだろう。

午前中に突っ走った分、昼休憩は一時間しっかり取ろうと思い、ひとりで外出した。

なんとなく和食の気分で近くの食事処に入り、鯖の味噌煮定食を注文した。

ほとんど待ち時間なく配膳され、美味しく食べながらながら頭に浮かんだのは黒見の顔だ。

(帰国は明後日か……)

二泊の出張中、一緒にいる時間が長かったせいか会えないのが寂しい。

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