俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
(こんな気持ち、おかしい。恋愛感情はないはずなのに。きっとあんな贅沢を二度と味わえないと思うから寂しいんだ)

たくあんをポリポリかじりながらロイヤルスイートでの豪華なディナーを思い浮かべたが、贅沢が恋しいせいで寂しいわけではないとわかっていた。

出張で一番心に残っているのは、タクシーの車内で黒見と食べたホットドッグだ。

(味覚が同じだとわかってから、雲の上の人だと感じない。身の丈に合わない人と交際したら疲れると思っていたけど、心配するほどではないのかも……)

当分、恋はいらないと思っていたというのに、彼ともし交際したらと考えてしまうということは、次の恋愛を始めるエネルギーが溜まってきたのかもしれない。

(好きかどうかわからないけど、つき合ってみても――って、私はなにを考えているの。また捨てられて傷つくのは勘弁だよ)

黒見の本気度はどのくらいだろうか。

(つき合ったらこんな女だと思わなかったと言われそう。ゴージャス美女とはそんな感じで別れたんでしょ? なんの取り柄もないし、数日で幻滅されそう。やっぱり黒見CEOとの恋はないわ。疲れること考えていないで鯖の味噌煮を味わおう)

黒見の顔が浮かばないように好きなアーティストの音楽でも聴きながら食べようと思い、ポケットからイヤホンを出した。

携帯を手に曲を選んでいると、SNSアプリに届いたメッセージの通知に心臓が波打った。
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