俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「泣いていません。私に同情されるのは宇津木さんが嫌でしょうから。でも、私のせいで異動になるなんて申し訳なくて……」

「梨乃のせいじゃないだろ」

社内なのに名前で呼ばれて心臓が波打ち、同時に疑ってしまう。

「本当にいつもこういう対応をされているんですか? 私のためじゃないんですよね?」

「私情を挟む男に見えているなら残念だ」

大企業を真摯に経営している彼に対し、侮辱的な発言だったと気づいて後悔する。

「すみません、失言でした」

黒見が小さく嘆息する。

「俺も謝らなければならない。お前に対するアプローチは、宇津木の目の届かない場所でするべきだった。配慮が足りず、すまなかった」

アプローチとは、梨乃を執務室に呼び出したり部署内で食事に誘ったりしたことだろうか。

そう言うということは、宇津木の気持ちが今も自分に向いているのを知っていたようだ。

「いえ、黒見CEOはなにも悪くないです」

惚れられただけなのだからと思ったが、少しは非があるのではと思い直した。

「以前、宇津木さんに嘘の噂を流されたんですよね? その時にスルーせずきちんとフッておけばよかったんじゃないですか? 諦める機会を与えなかった黒見CEOにも悪いところがあったと思います」

「フラれたら諦められる人間ばかりではないだろ。少なくとも俺は違う。梨乃を諦める気はない」

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