俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
ふわふわとした甘さは感じず、浮かれた気分にもなれない。どうしようと心の中で呟き、目を覆いたくなる心地がした。

(つき合ったらすぐに幻滅されて捨てられそう。失恋で泣くのはもう嫌だ)

無意識に彼に気に入られようとして自分を強く見せていたが、本当の自分は違う。

失恋に怯え新しい恋に踏み出せない弱虫だ。

(私って、黒見CEOの嫌いなタイプじゃない。好きになってしまって、これからどうすればいいのよ……)

考え込んでいたため、つい無言になってしまった。

「俺に相談しようという考え自体が浮かばなくて、の続きは?」

ハッと我に返ると黒見が眉根を寄せていた。

「ええと、その……」

「宇津木の件に限らず、今後の困り事も俺には相談しないつもりか?」

「そ、そうですね」

「頼りがいがないと思われているのか」

「違います! 黒見CEOを頼もしく感じています。でも私が守られたくないので……」

また黒見に気に入られようとしてしまった。

(しっかりして、私。これ以上好きになる前に自分を立て直さないと)

焦っているため黒見の顔を見られない。

「今回の件ではお手数おかけしました」

一礼したあとは目を合わすこともできず、逃げるようにミーティング室を出た。



* * *



六階のミーティング室を出た黒見は、眉間に皺を刻んだまま執務室へ戻ってきた。

(俺に守られたくないのか)

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